BISPECIFIC ANTIBODY|2つの標的を一つの薬で捉える
二重特異性抗体
とは
二つの細胞をつなぐ、または二つの治療標的を同時に抑える抗体です
通常の抗体薬は、基本的に一つの標的を認識します。二重特異性抗体は、左右の結合部分などを設計し、異なる二つの標的へ一つの薬で結合できるようにした治療です。
すべてが同じ仕組みで免疫を活性化するわけではありません。T細胞とがん細胞をつなぐ薬、二つの増殖信号を抑える薬、免疫と血管の両方へ働く薬などがあり、効果と副作用も異なります。
BINDING TWO TARGETS
一つの抗体が、二つの相手を認識します
「二つを結ぶ」という基本は同じでも、何と何を結ぶかによって治療の目的が変わります。
FOUR DESIGNS
二重特異性抗体には、主に4つの設計があります
T細胞とがん細胞をつなぐ
T細胞をがん細胞の近くへ引き寄せ、攻撃につなげます。DLL3×CD3、BCMA×CD3などがあります。
2つの増殖経路を抑える
がんが使う二つの信号を一つの抗体で抑えます。EGFR×METなどがあります。
免疫と血管を同時に狙う
免疫のブレーキと、がんを支える血管の信号を同時に抑えるPD-1×VEGFなどが研究・開発されています。
同じ標的の2か所へ結合する
同じ分子の異なる場所をつかみ、結合や受容体の集まり方を変えるHER2二部位結合型などがあります。
T-CELL ENGAGER
T細胞誘導型は、免疫細胞とがん細胞の距離を縮めます
血液がんでは複数の薬が診療で使われ、固形がんでもDLL3を標的とする小細胞肺がん治療などが臨床へ進んでいます。がん細胞に目印があることに加え、T細胞が働ける状態か、正常組織への影響はないかを確認します。
EXAMPLES
すでに使われる治療と、研究中の治療
- DLL3×CD3:小細胞肺がんでT細胞を誘導するタルラタマブ
- BCMA×CD3・CD20×CD3:多発性骨髄腫やリンパ腫で使われる治療
- EGFR×MET:特定の非小細胞肺がんへ使われるアミバンタマブ
- PD-1×VEGF:免疫と血管新生を同時に狙う開発領域
PATIENT SELECTION
治療前に確認すること
- 標的分子、遺伝子変異、発現量が適応条件に合うか
- がんの種類、病期、過去の治療
- 感染症、血球、肝腎機能、呼吸・神経症状
- 入院や長時間観察を含む初回投与の方法
SAFETY
副作用は「つなぐ相手」によって変わります
発熱、低血圧、低酸素などのサイトカイン放出症候群(CRS)、神経症状、血球減少、感染症に注意します。段階的な増量や投与後の観察が必要な薬があります。
点滴時反応、皮膚症状、むくみ、高血圧、蛋白尿、出血など、標的とする経路に応じた副作用を確認します。
「二重特異性抗体」という名前だけでは、副作用を一括りにできません。薬の二つの標的と、投与直後・投与中に注意する症状を確認します。
ADC OR BISPECIFIC