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02|治療の選択肢を知る新たながん治療の現在地

NEW CANCER TREATMENT|研究と臨床の現在地を知る

新たながん治療は、
どこまで進んでいるのか

論文や臨床試験をもとに、治療の可能性と現在地を整理します

新たながん治療の研究成果は、日々、論文や学会で発表されています。

ひとつの治療が患者さんへ届くまでには、細胞を使った基礎研究、動物実験、少人数の臨床試験、より多くの患者さんを対象とした比較試験など、複数の段階があります。

「論文で発表された」「臨床試験が始まった」「海外で承認された」という情報は、それぞれ治療として確認されている範囲が異なります。研究の段階を知ることで、現在分かっていることと、確認が進められていることを整理できます。

新しい治療は、基礎研究から患者さんへ進みます

研究の初期段階では、培養した細胞や組織を使い、治療によってどのような変化が起こるのかを調べます。これがin vitro(イン・ビトロ)と呼ばれる研究です。

次に、免疫、血流、代謝、臓器への影響など、身体全体の中で起こる変化を動物モデルで確認します。これがin vivo(イン・ビボ)と呼ばれる研究です。

細胞実験では、条件をそろえて特定の反応を詳しく観察できます。動物実験では、治療が身体の中をどのように移動し、免疫や臓器へどのような影響を与えるのかを調べられます。ヒトを対象とする臨床試験では、投与量、安全性、治療効果、個人差を確認します。

01細胞・組織作用の仕組みを調べる
02動物モデル身体全体での変化を調べる
03第Ⅰ相安全性と投与量を確認する
04第Ⅱ相治療効果の可能性を確認する
05第Ⅲ相現在の治療などと比較する
06承認・臨床実際の診療データを蓄積する

臨床試験には、それぞれ確認する目的があります

第Ⅰ相試験では、主に安全性、投与量、副作用などを確認します。第Ⅱ相試験では、特定のがんや患者さんを対象に、治療効果の可能性や副作用を詳しく調べます。

第Ⅲ相試験では、現在使われている治療などと比較し、より多くの患者さんを対象に効果と安全性を検証します。近年は、第Ⅰ相と第Ⅱ相を組み合わせた試験や、途中の結果を踏まえて試験方法を調整する設計も使われています。

治療名とともに、試験の段階、対象となった患者さん、比較した治療を確認することで、研究の進み具合を捉えやすくなります。

「効果があった」という言葉の内容を見ます

がん治療の研究では、複数の指標を使って効果を評価します。数字が示している内容を知ると、治療の特徴を具体的に捉えられます。

奏効率

画像上で、がんが一定以上小さくなった患者さんの割合

無増悪生存期間

がんの進行が確認されるまでの期間

全生存期間

治療開始などの基準時点から患者さんが生存した期間

効果持続期間

治療による反応が、どのくらい続いたかを示す期間

対象となった患者数、比較する治療の有無、観察期間、副作用による中止の割合も一緒に確認します。複数の結果を重ねることで、その治療が持つ可能性と現在地が見えてきます。

研究結果を、自分の病状と照らし合わせる

研究に参加した患者さんと現在治療を考えている患者さんでは、がんの種類、遺伝子やバイオマーカー、治療歴、臓器機能、体力などの条件が異なります。

研究結果を自分の病状へ重ねるときは、次の点が手がかりになります。

  • 自分と同じがんの種類や病期が対象になっているか
  • 同じ遺伝子変異やバイオマーカーを持つ患者さんが含まれているか
  • これまでに受けた治療が近いか
  • 年齢、体力、臓器機能などの条件が近いか
  • 期待される効果と副作用がどのように示されているか

研究結果と現在の病状を照らし合わせることで、その治療を検討する意味が具体的になります。

標準治療との関係を確認します

研究結果を見るときは、標準治療に追加した試験なのか、標準治療と比較した試験なのか、治療後に行われた試験なのかを確認します。試験の設計によって、結果が示す意味は変わります。

治療の位置づけは、承認状況、対象となるがん、治療を行う時期、ほかの治療との併用条件によって決まります。血液状態、肝臓や腎臓の機能、炎症、栄養、体力、これまでに起きた副作用も、治療を考えるための重要な情報です。

マクロファージや腫瘍微小環境の研究も進んでいます

がん治療の研究対象は、がん細胞から、免疫や血管、線維芽細胞、代謝、炎症など、がんを取り巻く環境へ広がっています。

マクロファージは、異物や傷んだ細胞を処理し、炎症や組織修復にも関わる免疫細胞です。がんの周囲では、がん細胞を攻撃する方向にも、がんが生きやすい環境を支える方向にも働く可能性があります。

現在は、マクロファージの状態をどのように見分け、どのように働きを整えるかが研究されています。細胞実験、動物の身体の中で起きた変化、ヒトを対象とした臨床試験の結果を区別することで、研究の現在地を捉えられます。

研究所は、治療の現在地を分かりやすく整理します

がん治療の研究所では、新しい治療法について、研究が進んでいる段階、対象となった患者さん、確認された結果を整理します。

臨床で使われている治療と、研究によって確認が進められている治療を区別し、現在分かっていることを患者さんとご家族に伝えます。

がんの種類、治療歴、画像や検査値の変化、副作用、免疫や身体の状態を照らし合わせながら、その情報が現在の患者さんにどのような意味を持つのかを考えます。

現在の病状と治療歴から、選択肢を整理する

自分の場合は、どのように考えればよいのか

自分の場合を考える