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04|がんと免疫を知るがんと免疫の関係

CANCER & IMMUNITY|患者さんとご家族のためのがん解説

がんと免疫の関係

免疫は、がん細胞を見つけて排除する一方、がんとの関わりの中で働きを抑えられたり、性質を変えられたりします

私たちの身体では、遺伝子に変化を持つ細胞や、正常とは異なる性質を持つ細胞が日々生じています。免疫は、そのような異常な細胞を見つけ、取り除く仕組みの一つです。

それでも、すべてのがん細胞が免疫によって排除されるわけではありません。がん細胞はもともと自分の細胞から生じるため、細菌やウイルスのような明確な異物とは限らず、免疫に見つかりにくいものがあります。

さらに、免疫の攻撃を生き延びたがん細胞は、免疫にブレーキをかけたり、周囲の免疫細胞を利用したりしながら、増殖しやすい環境をつくります。がんと免疫の関係は、「免疫が強いか弱いか」だけでは説明できません。

免疫は、異常な細胞を見つけ、情報をつなぎ、攻撃します

がんに対する免疫には、多くの細胞が関わっています。マクロファージや樹状細胞は、異常な細胞やその一部を取り込み、周囲の状況を確認します。樹状細胞は、がんの目印となる情報をT細胞へ伝える役割を担います。

NK細胞は、異常を示す細胞を早い段階で見つけて攻撃します。T細胞のうち細胞傷害性T細胞は、提示された目印を手がかりに、標的となるがん細胞を攻撃します。

こうした細胞は、それぞれが単独で働くのではなく、情報を受け渡しながら連携しています。どこか一つの細胞の数だけで、がんに対する免疫全体を判断することはできません。

がん細胞が生じても、すぐに「がん」として見つかるわけではありません

異常な細胞の多くは、免疫の監視や細胞自身の仕組みによって排除されると考えられています。一部が残っても、免疫との均衡の中で、長く増殖を抑えられることがあります。

その後、免疫に見つかりにくい性質を持つ細胞が残ったり、免疫を抑える環境がつくられたりすると、がん細胞は免疫の監視を逃れ、画像などで確認できる大きさへ成長していきます。

FIGURE|がんと免疫の関わり

免疫による排除、均衡、逃避を経て、
がんが成長することがあります。

※「排除・均衡・逃避」は、がん免疫編集という研究上の考え方を患者さん向けに簡略化したものです。すべてのがんが同じ順序や時間で進むことを示すものではありません。

がんは、どのように免疫から逃れるのか

がん細胞は、免疫が目印として認識する抗原を減らしたり、その情報を提示する仕組みを弱めたりすることで、攻撃の対象になりにくくなることがあります。

また、PD-L1などを介してT細胞にブレーキをかけ、攻撃する働きを抑えることがあります。免疫チェックポイント阻害薬は、このブレーキの一部を外し、T細胞が攻撃する力を保てるようにする治療です。

ただし、ブレーキを外すだけで、すべての患者さんの免疫ががんを攻撃できるようになるわけではありません。がんの目印、T細胞の状態、遺伝子やバイオマーカー、がんを取り巻く環境などによって、治療への反応は異なります。

がんの周囲では、免疫細胞の役割が変わることがあります

がんの周囲には、免疫細胞、血管、線維芽細胞、細胞外基質、さまざまな情報伝達物質が集まります。この周囲の環境を「腫瘍微小環境」といいます。

腫瘍微小環境では、T細胞の働きが抑えられるだけでなく、本来は異物を処理し組織を守るマクロファージが、がんの成長や血管新生、免疫抑制を支える側へ性質を変えることがあります。

そのため、がん免疫を考えるときは、がん細胞を攻撃する細胞だけでなく、その働きを左右している周囲の環境も見る必要があります。

「免疫力」は、一つの数値では表せません

血液検査では、白血球やリンパ球の数、T細胞・NK細胞などの割合や働き、炎症に関わる項目を調べることができます。これらは身体の状態を知る手がかりになります。

一方、血液中にいる免疫細胞の状態と、実際の腫瘍の中に入っている免疫細胞の状態は同じとは限りません。栄養、感染、炎症、治療薬、睡眠、ストレス、臓器機能なども免疫に影響します。

「NK細胞が高いから安心」「リンパ球が低いから治療できない」と一つの項目だけで結論を出さず、病状や治療経過、ほかの検査と合わせて変化を見ることが大切です。

免疫を利用する治療にも、種類と目的があります

科学的な有効性が確認され、標準治療として用いられている免疫療法には、免疫チェックポイント阻害薬などがあります。がんの種類やバイオマーカーによって、対象となる患者さんや期待できる効果は異なります。

免疫のブレーキを外す治療では、免疫が正常な臓器を攻撃する副作用が起こることがあります。また、「免疫を高める」と表現される自由診療や健康食品は、仕組みや根拠、品質、安全性がそれぞれ異なります。

治療を検討するときは、何を標的とし、どの免疫細胞にどう働きかけるのか、ヒトでどこまで確かめられているのか、標準治療とどう組み合わせるのかを確認します。

治療や検査について確認したいこと

  • 自分のがんでは、効果が確認された免疫療法があるか
  • PD-L1、MSI、TMBなど、治療選択に関わる検査を行っているか
  • その治療は免疫のどの仕組みに働きかけるのか
  • 効果をいつ、どの検査で判定するのか
  • 免疫に関係する副作用には、どのようなものがあるか
  • 血液中の免疫状態と、腫瘍微小環境をどのように考えるか
  • 標準治療と併用する場合、効果と安全性の根拠はあるか

次に確認したいこと

ご自身の治療について、相談したい方へ

がんの種類、治療歴、検査結果、炎症や栄養を含む現在の身体の状態から、免疫に関して何を確認するかを整理します。

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