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03|治療を受ける身体を知る悪液質と栄養状態

CACHEXIA AND NUTRITION|患者さんとご家族のためのがん解説

悪液質と栄養状態

がんへの治療とともに、治療を受け止められる身体を整えます

がんの経過では、食欲の低下、吐き気、味覚の変化、痛み、便秘などによって、食べる量が減ることがあります。

そこへ、がんや感染などによる炎症が重なると、身体のエネルギーの使い方が変化します。筋肉や脂肪の分解が進み、食事を取っていても体重や筋力が減っていくことがあります。

悪液質は、身体のエネルギーの使い方が変わる状態です

がん悪液質は、食事量の低下と身体の代謝変化が重なり、筋肉を中心に体重と体力が低下していく状態です。脂肪が減ることもあります。

炎症性物質が増えると、食欲、エネルギー消費、糖や脂肪の代謝、筋肉をつくる働きが変化します。食べる量が減ることに加え、身体の中では筋肉や脂肪を分解する方向への変化が進みます。

筋力が低下すると動く量が減り、疲れやすさや食欲の低下が重なる循環へつながります。

FIGURE|悪液質で起きる身体の変化

食事量の低下と炎症が、筋肉と体力へ影響する流れ

食事量の低下と炎症による代謝変化から、筋肉と脂肪の分解、体力と活動量の低下へ進む流れを示した概念図
  1. 食べる量が減る食欲、吐き気、痛み、味覚、便通などが影響する
  2. 炎症で代謝が変わる身体がエネルギーとたんぱく質を使う仕組みが変化する
  3. 筋肉と脂肪が分解される体重だけでなく、筋力も低下していく
  4. 体力と活動量が低下する疲れやすさが増し、食事や移動がさらに難しくなる

体重の減少は結果の一つです。その前から、食欲、筋力、活動量、炎症には変化が現れます。

※悪液質の流れを分かりやすく整理した概念図です。変化の程度や進み方は、がんの種類、治療、感染、臓器機能などによって異なります。

栄養状態は、体重・筋肉・炎症・むくみを重ねて見ます

栄養状態を考えるときは、現在の体重とともに、数週間から数か月の体重変化、食事量、筋肉量、握力、歩行や日常生活の変化を確認します。

血液検査では、CRPなどの炎症反応、アルブミン、血球、肝臓や腎臓の機能、電解質などを重ねて見ます。アルブミンは、食事や栄養に加え、炎症、肝機能、体液の分布などの影響を受けます。

むくみ、胸水、腹水がある場合は、水分によって体重が保たれているように見えることがあります。体重の数字と、腕や脚の細さ、動ける力、食べられている量を一緒に見ることが大切です。

治療を受け止められる身体を整えます

食事量の低下が続き、体重と筋力が減り、むくみや腹水が増え、炎症反応が続いている。こうした状態では、身体が治療の負担から回復する力も低下しています。

抗がん剤や放射線治療は、がんへ働きかけると同時に、食欲、消化管、骨髄、免疫、筋肉などへも影響します。身体の状態が低下しているときに治療を重ねると、吐き気、下痢、血球減少、感染、倦怠感などが強まり、食べることや動くことがさらに難しくなる場合があります。

このような状態では、「治療を投与できるか」とともに、「治療の負担から回復できるか」を見ます。がんへの治療を急いで重ねるよりも、炎症、感染、栄養、水分、排泄、痛み、睡眠、活動量を整えるケアを優先する判断が必要になります。

整えるケアは、次の治療へつなぐための積極的な医療です

悪液質には、食事量の低下だけでなく、炎症や代謝の変化、筋肉の分解が関わっています。食事や点滴に加え、食べられない原因、排泄、感染、痛み、睡眠、活動量まで含めて身体全体を支えます。

食べる

吐き気、口内炎、味覚の変化、痛み、便秘、胃腸の通過を確認し、少量でも取りやすい食事や栄養の形を考えます。

出す

便通、尿量、水分、電解質、腎機能を確認します。むくみや腹水があるときは、体液の偏りも見ます。

炎症と感染

発熱やCRP上昇の背景を整理し、感染、治療による反応、臓器の障害などへ対応します。

動く

現在の体力に合わせ、座る、立つ、歩く、呼吸を整えるといった小さな活動から筋力を支えます。

眠る

痛み、咳、吐き気、不安、夜間の排尿などを整え、身体が回復するための睡眠と休息を確保します。

身体の変化を見ながら、治療のタイミングを考えます

身体を整えるケアと、がんへの治療は病状に合わせて組み合わせます。栄養や症状の管理を治療と同時に行う場合もあれば、治療を一時的に休み、投与量や間隔を調整し、身体の回復を待つ場合もあります。

患者さんの身体が治療を受け止め、その負担から回復し、次の治療へ進める状態を保つことが大切です。

がんと、治療を受ける身体を一緒に見ます

画像や腫瘍マーカーとともに、「食べられる・出せる・動ける・眠れる・笑える」という身体と生活の力を確認します。

体重と筋肉、炎症、栄養、臓器機能、日常生活の変化を重ねることで、現在の身体が治療をどのように受け止めているのかを整理し、治療とケアの優先順位を考えます。

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