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02|治療の選択肢を知る標準治療から、広がるがん治療へ

STANDARD TREATMENT AND BEYOND|患者さんとご家族のためのがん解説

標準治療を基盤に、
広がるがん治療

切る・あてる・薬でたたく治療から、がんの特徴、免疫、周囲の環境を見る治療へ

がん治療は、標準治療を基盤に、新しい視点と治療法を積み重ねながら発展してきました。

手術で取り除く。放射線をあてる。薬で増殖を抑える。この3つを中心に、治療機器、画像診断、薬剤、遺伝子検査、副作用を支える治療も進歩しています。

さらに、がん細胞が持つ特徴、患者さん自身の免疫、がんを取り巻く周囲の環境まで、治療研究の対象が広がっています。

標準治療は、現在のがん治療の基盤です

標準治療とは、科学的な根拠に基づき、現在利用できる治療の中で多くの患者さんに推奨される治療です。研究と臨床試験を重ね、効果と安全性を比較し、専門家による検討を経て診療ガイドラインに示されます。

多くは保険診療として提供され、地域にかかわらず一定水準の治療を受けるための基盤となっています。推奨される治療は、がんの種類、病期、遺伝子やバイオマーカー、臓器機能、体力、治療歴などによって変わります。

01基礎研究
02臨床試験
03効果と安全性の比較
04専門家による評価
05診療ガイドライン

手術・放射線治療・薬物療法が進化してきました

がんを消去していくという考え方から、手術で「切る」、放射線を「あてる」、薬で「たたく」治療が発展してきました。3つの治療は、現在も治療計画の中心です。

手術

より小さな傷で、正確に取り除く

開腹・開胸手術に加え、腹腔鏡・胸腔鏡手術、ダビンチなどのロボット支援手術が広がっています。

放射線治療

狙う場所へ線量を集中する

IMRT、定位照射、ガンマナイフ、粒子線治療など、病変の位置や種類に応じた照射方法が使われています。

薬物療法

増殖を抑え、全身へ働きかける

細胞障害性抗がん薬に加え、分子標的薬、抗体医薬、ADCなど、治療の仕組みと届け方が広がっています。

副作用を管理し、治療を続けられる状態を保つ

薬物療法では、がんを抑えるために必要な投与量と、患者さんの身体が受け止められる投与量のバランスを見ます。血球減少、吐き気、しびれ、脱毛、臓器への影響などを確認し、減量、休薬、治療間隔の変更、薬剤の変更を行います。

吐き気止め、感染予防、栄養、痛みの管理などの支持療法も、治療を支える重要な要素です。治療効果と安全性を確認しながら、次の治療へつなげられる身体の状態を保ちます。

がんを見る視点が、細胞から周囲の環境へ広がっています

がん研究が進み、治療は「どこにあるがんか」に加え、「どのような特徴を持つがんか」「免疫とどのように関わっているか」「どのような環境で生きているか」を見る方向へ広がっています。

手術と放射線治療が、がんのある場所へ働きかけるイメージがんの場所を見る手術・放射線治療
血流を介して抗がん薬が増殖するがん細胞へ届くイメージ増殖する細胞を見る細胞障害性抗がん薬
抗体ががん細胞の目印を捉え、薬剤を細胞内へ届けるイメージがんの特徴を見る分子標的薬・抗体医薬・ADC
T細胞ががん細胞を認識し、免疫の働きを利用するイメージ免疫との関係を見る免疫チェックポイント阻害薬・細胞療法
がん細胞を血管、マクロファージ、免疫細胞、線維芽細胞などの周囲の環境とともに捉えるイメージ周囲の環境を見るマクロファージ・腫瘍微小環境の研究

現在のがん治療は、これまでの治療を基盤に、複数の視点と治療を組み合わせて検討します。

がんの特徴を調べ、治療を選ぶ

同じ臓器にできたがんでも、遺伝子の変化や細胞表面の目印、薬への反応は一人ひとり異なります。分子標的薬は増殖に関わる特定の分子を狙い、抗体医薬は細胞表面の目印へ結合します。ADCは、抗体を利用して薬剤を標的となる細胞へ届けます。

遺伝子検査やバイオマーカー検査は、治療が合う可能性を考えるための手がかりです。検査結果とともに、薬の適応、治療歴、臓器機能、副作用などを重ねて治療を選びます。

患者さん自身の免疫を、治療に利用する

免疫チェックポイント阻害薬は、がんが免疫へかけたブレーキの一部を外し、T細胞が攻撃する力を保てるようにする治療です。細胞療法では、免疫細胞を体外で増やす、または性質を変えて患者さんへ戻す方法が研究・臨床で使われています。

光、熱、ウイルスなどを利用する治療も加わり、がんへ働きかける方法はさらに広がっています。それぞれの治療には対象となるがん、使用条件、研究段階があります。

マクロファージと腫瘍微小環境も、研究の対象へ

がんの周囲には、免疫細胞、マクロファージ、血管、線維芽細胞、細胞外基質、炎症に関わる物質が存在します。この周囲の環境を腫瘍微小環境といいます。

腫瘍微小環境は、免疫細胞ががんへ入り込めるか、薬が十分に届くか、がん細胞が生き残りやすいかということに関わります。現在は、マクロファージの働きや免疫を抑える仕組み、血流や代謝など、がんが生きる環境を整える研究も進んでいます。

治療の選択肢は、組み合わせによって広がります

手術の前後に薬物療法を行う、放射線治療と薬物療法を併用する、遺伝子やバイオマーカーを確認して薬を選ぶなど、現在のがん治療は複数の方法を組み合わせて進めます。

治療の効果には、がん細胞の性質、薬剤への耐性、免疫、血流、炎症、栄養、体力、これまでの副作用などが関わります。患者さんの現在の状態を捉え、何を、どの順序で、どのように組み合わせるかを考えることが重要です。

次の記事では、研究段階の治療がどこまで進んでいるのかを確認し、その結果を自分の病状と重ねて考える方法を整理します。

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