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05|検査結果を読み解く血液検査から、今の身体を読む

BLOOD TESTS|治療を受け止める身体の状態を見る

血液検査から、
今の身体を読む

血球・炎症・栄養・臓器機能を重ね、治療へ向かう力を確かめます

血液検査は、採血した時点の身体を映す一枚のスナップ写真です。

赤血球、白血球、血小板、炎症、栄養、肝臓や腎臓の働きなどを調べることで、身体が治療を受け止め、そこから回復できる状態にあるかを考えます。

大切なのは、一つの数値だけで結論を出すことではありません。複数の項目を組み合わせ、症状や治療歴とともに、前回からどのように動いたかを読みます。

血液には、身体のさまざまな変化が表れます

血液は全身を巡り、酸素や栄養を届け、感染から身体を守り、出血を止め、不要な物質を運びます。そのため、血液検査には、がんの状態だけでなく、治療を受ける身体側の変化も表れます。

血球運ぶ・守る・止める

貧血、感染への備え、出血しやすさを見る

炎症・感染身体で起きている反応

CRPや白血球分画を症状と重ねる

栄養・臓器治療を処理し、回復する力

たんぱく、肝臓、腎臓、電解質を見る

腫瘍マーカー病状の動きを追う補助線

基準値よりも自分の推移を確認する

赤血球は、全身へ酸素を運ぶ力を示します

赤血球数、ヘモグロビン(Hb)、ヘマトクリット(Ht)は、血液が酸素を運ぶ力を確かめる基本項目です。ヘモグロビンが低下すると、息切れ、動悸、めまい、倦怠感が起こり、歩く、食べる、治療後に回復するといった日常の動作にも影響します。

Hb

赤血球の中で酸素を運ぶたんぱくです。貧血の程度を捉える中心的な数値です。

MCV

赤血球一個の大きさを示します。鉄不足、ビタミンB12・葉酸不足、薬剤の影響など、貧血の原因を考える手がかりになります。

網赤血球

作られたばかりの若い赤血球です。骨髄が新しい赤血球を作れているかを見ます。

鉄関連

フェリチン、血清鉄、総鉄結合能、トランスフェリン飽和度を組み合わせ、身体に蓄えられた鉄と利用できる鉄を見ます。

がん患者さんの貧血には、出血、鉄やビタミンの不足、慢性炎症、腎機能の低下、骨髄への影響、抗がん剤や放射線治療などが関わります。原因によって、補うものや治療の進め方が変わります。

白血球は、感染への備えと免疫の動きを示します

白血球数は全体の人数です。白血球分画では、好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球の割合と実数を確認し、どの細胞が増減しているかを見ます。

細菌への初期対応好中球

抗がん剤治療中は、感染への備えを知るために好中球の実数(ANC)を重視します。発熱の有無とともに確認します。

免疫反応の中心リンパ球

T細胞、B細胞、NK細胞などを含みます。一般的な血液検査では主に数を示し、詳しい構成や働きは別の検査で調べます。

処理と修復への参加単球

組織へ移るとマクロファージなどになり、異物の処理、炎症、修復に関わります。

アレルギーや寄生虫への反応好酸球・好塩基球

アレルギー、薬剤への反応、感染などで変化し、ほかの症状や検査値とともに読みます。

白血球や好中球の増加には、感染や炎症、ステロイド、身体的なストレスなどが関わります。減少には、抗がん剤、放射線治療、骨髄の働きの低下、感染などが関わります。治療日程を考えるときは、総白血球数と分画の両方を確認します。

リンパ球の数・構成・働きを見る免疫力検査を詳しく見る →

血小板は、出血を止める力と血栓への注意を示します

血小板は、血管が傷ついた場所へ集まり、出血を止める働きを担います。血小板が減ると、あざ、鼻血、歯ぐきからの出血などが起こりやすくなり、手術や処置、薬物療法の予定にも関わります。

血小板の減少には、抗がん剤や放射線治療による骨髄への影響、感染、肝臓や脾臓の状態、薬剤などが関わります。増加は、炎症、感染、出血や鉄不足からの反応として起こることがあります。

Dダイマーは、身体の中で血の塊が作られ、分解されたときに増える物質です。がん、炎症、感染、手術後、加齢などでも上昇するため、片脚の腫れや痛み、胸痛、息苦しさなどの症状と画像検査を組み合わせ、血栓の可能性を確かめます。

炎症と感染は、数値と症状を組み合わせて見ます

CRPは、身体で炎症が起きたときに肝臓で作られるたんぱくです。感染、がんに伴う炎症、組織の損傷、手術や放射線治療の後などで上昇します。上昇した理由を考えるには、発熱、咳、痰、痛み、排尿時の違和感、傷の状態などを同時に確認します。

CRP

炎症反応の大きさと推移を見る代表的な項目です。どこで何が起きているかは、症状や画像、培養検査などから絞ります。

好中球

感染や炎症、薬剤などへの反応で変化します。発熱を伴う減少は、早い対応が必要になることがあります。

LDH

さまざまな組織に含まれる酵素です。組織の傷害、溶血、肝機能、がんの活動などで上昇するため、ほかの項目と重ねます。

フェリチン

鉄の貯蔵を示す一方、炎症でも上昇します。鉄不足を考えるときはCRPやほかの鉄関連項目も見ます。

CRPが下がり、白血球分画や症状も落ち着いてくることは、身体の反応が収まりつつある手がかりになります。数値が動く速さも含めて、前回との変化を追います。

栄養状態は、食べた量と身体で使える状態を重ねて見ます

アルブミンや総たんぱくは、栄養状態を考える大切な材料です。そこへ、食事量、体重、筋肉量、むくみ、腹水、炎症反応を重ねることで、身体が栄養を受け取り、利用できる状態かを考えます。

たんぱくの状態アルブミン・総たんぱく

食事量に加え、炎症、肝臓で作る力、腎臓や消化管からの喪失、水分の偏りでも変化します。

短い期間の変化プレアルブミン・コリンエステラーゼ

施設や病状に応じて測定し、肝機能や炎症も含めて栄養への変化を見ます。

水分とミネラルNa・K・Ca・Mg・P

食事や水分、嘔吐・下痢、腎機能、薬剤の影響を受け、意識、筋力、心臓の働きにも関わります。

身体で使うエネルギー血糖・体重・筋力

血液の数値に、食べられている量と実際に動ける力を重ねます。

アルブミンが低いときは、食事量だけを増やせばよいとは限りません。炎症や感染を整える、水分の偏りを見直す、痛みや吐き気、便秘、口内炎を和らげるなど、食べられない理由と身体で利用しにくい理由を分けて考えます。

肝臓と腎臓は、薬を処理する力を示します

薬は身体へ入った後、肝臓で分解され、腎臓などから排泄されます。肝臓と腎臓の状態は、薬剤の種類、投与量、治療間隔を考える重要な材料です。

肝臓

AST、ALT、ALP、γ-GTP、ビリルビンなどから、肝細胞、胆汁の流れ、肝臓への負担を見ます。

腎臓

クレアチニン、eGFR、尿素窒素(BUN)などから、老廃物や薬剤を排泄する力を見ます。

水分

BUN、クレアチニン、Naなどに、口渇、尿量、むくみ、血圧、体重変化を重ねます。

クレアチニンは筋肉量の影響も受けます。筋肉が大きく減っている方では数値が低く見えることがあるため、体格、尿量、過去の推移も含めて腎機能を考えます。

腫瘍マーカーは、病状の動きを追う補助線です

腫瘍マーカーは、がん細胞が作る物質や、がんに反応した身体が作る物質を血液で測る検査です。がんの種類や性質に応じて項目を選び、治療前から上昇している場合は、その後の推移を追う材料になります。

消化器・肺などCEA・CA19-9

大腸、胃、膵臓、胆道、肺などで使われます。喫煙、炎症、胆汁の流れなどでも変化します。

肝臓AFP・PIVKA-II

肝細胞がんで使われます。肝炎や肝障害、ビタミンKの状態なども結果に影響します。

前立腺・乳房・卵巣PSA・CA15-3・CA125

臓器やがんの種類に応じて選びます。良性疾患、炎症、月経などでも動く項目があります。

肺などSCC・CYFRA・NSE・ProGRP

がんの組織型に応じて使い分けます。腎機能や良性疾患の影響も確認します。

腫瘍マーカーを作りにくいがんもあります。基準値内で推移する方では、画像や症状を中心に経過を見ます。上昇している方では、同じ検査法で繰り返し測り、変化の方向と速さを画像や治療時期に重ねます。

複数の数値を、一つの流れとして読みます

同じ数値の変化でも、ほかの項目との組み合わせによって意味が変わります。血液検査は、身体の中で起きていることを絞り込むための地図として使います。

発熱+CRP上昇+好中球の変化感染と炎症の場所を探す

症状、診察、画像、尿・痰・血液培養などへつなげます。

アルブミン低下+CRP上昇+むくみ炎症と体液の偏りを整える

食事量だけでなく、感染、炎症、肝腎機能、水分の分布を見ます。

Hb低下+MCV・鉄・網赤血球貧血の原因を分ける

出血、材料不足、炎症、骨髄、腎機能を確認します。

腫瘍マーカーの変化画像と治療時期へ重ねる

同じ方法で推移を追い、炎症や臓器機能の影響も確認します。

身体を整えることが、次の治療につながります

感染、脱水、強い貧血、血小板の減少、栄養状態の低下、肝臓や腎臓の負担が見つかったときは、現在の身体を整えるケアが治療の土台になります。

抗菌薬、点滴、輸血、制吐薬、痛みや便通の調整、食べやすい形への工夫、栄養支援、睡眠と活動量の調整などを行い、治療から回復できる状態をつくります。薬剤の減量、休薬、治療間隔の変更も、治療を安全に続けるための設計です。

血液検査の役割は、治療を止める線を引くことではなく、今の身体に何が必要かを見つけ、次の治療へ進む道筋を整えることにあります。

治療前後を、同じ時間軸で比較します

治療前基準をつくる

血球、炎症、栄養、臓器機能を記録する

治療中身体の反応を見る

副作用、感染、食事量、症状と重ねる

回復期戻る力を確かめる

血球や臓器機能が回復する速さを見る

次の治療内容と時期を整える

画像と病状を重ね、次の方針へつなげる

検査値は、採血した日だけの点ではなく、治療の前後を結ぶ線として読みます。前回の治療からどのくらいで回復したか、同じ変化を繰り返しているかを見ることで、次の治療を考える材料が増えます。

検査値を、次の治療設計へつなげます

がん治療の研究所では、腫瘍マーカーの上下だけで病状を捉えず、赤血球、白血球、血小板、炎症、栄養、肝臓・腎臓の状態を同じ時間軸へ並べます。

画像の変化、これまでの治療、食べる・出す・動く・眠るといった日々の状態も重ね、現在の身体が受け止められる治療と、先に整えたい課題を整理します。

血液検査の推移を、治療経過と重ねる

自分の検査値では、どのように考えればよいのか

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