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05|検査結果を読み解くマイクロCTC検査で分かること

MICRO CTC TEST|採血から、がん細胞の動きを捉える

一度の採血で、
血液中のがん細胞を調べる

がん細胞そのものを捕捉し、検出された個数と細胞の特徴を確認します

CTCは、Circulating Tumor Cells(血中循環腫瘍細胞)の略です。がん組織から離れ、血液中へ入ったがん細胞を指します。

マイクロCTC検査では、採血した血液からCTCと考えられる細胞を捕捉・染色し、顕微鏡画像と細胞の目印を使って一個ずつ調べます。

結果票には、血液4mL中に検出されたCTCの個数と分類が示されます。画像が「身体のどこに何があるか」を見る検査であるのに対し、CTC検査は「血液の中に、がん細胞と判定される細胞があるか」を見る検査です。

がん組織から離れたがん細胞が血管へ入り、単独のCTCまたはCTC集塊として流れる過程を番号で示した図1がん組織2血管へ向かうがん細胞3CTC4CTC集塊5通常の血液細胞
1がん組織

血管の外にある、がん細胞の集まり。

2血管への侵入

組織から離れ、血管へ入る途中のがん細胞。

3単独CTC

血液中を一個で流れる、血中循環腫瘍細胞。

4CTC集塊

複数のCTCが、まとまって流れる状態。

5通常の血液細胞

CTCを判定するときに見分ける対象。

CTCと呼ぶのは③と④です。血管の中へ入ったがん細胞を、一個ずつ、または細胞の集まりとして捕捉します。

今回の検査は、上皮型・間葉型・混合型を調べます

今回の検査は、「上皮型」と「間葉型」の両方に対応しています。実際のCTCは二つにきっぱり分かれるだけでなく、上皮系と間葉系の両方の特徴を持つことがあります。そのため、結果票では混合型も独立して報告します。

上皮型CTCCK陽性・VIM陰性

上皮系の特徴を保っているCTCです。

混合型CTCCK陽性・VIM陽性

上皮系と間葉系、両方の特徴を持つCTCです。

間葉型CTCCK陰性・VIM陽性

間葉系の特徴を持つCTCです。

上皮間葉転換(EMT)は、上皮型から間葉型へ一度に切り替わる一本道ではありません。CTCは連続的に性質を変え、移行途中の状態も示します。今回の検査では、CKとVIMの染色を重ねて三つの型へ分類します。

血液中へ流れ出した、がん細胞そのものを探します

がん細胞の一部は、原発巣や転移巣から離れ、周囲の組織を通り抜けて血管へ入ります。そのうち、血液中を流れている段階の細胞がCTCです。

腫瘍マーカーが、がん細胞や身体が作る物質の量を測る検査であるのに対し、CTC検査では細胞そのものを探します。現在の病状を、画像や一般の血液検査とは異なる角度から見る材料になります。

採血一度の採血

食事制限などの特別な準備をせずに受けられる

捕捉細胞をチップで捉える

血液から解析対象となる有核細胞を分離する

解析顕微鏡画像を調べる

画像解析と専門家の確認を重ねて判定する

報告細胞の個数まで示す

血液4mL中のCTC数と分類を結果票で確認する

CTCは、チップで集めてから色で見分けます

採血管の中から、いきなり「がん細胞だけ」を拾い上げるわけではありません。まず赤血球などを減らし、CTCが含まれる可能性のある有核細胞を集めます。細胞を専用チップ上へ捕捉し、核、白血球、上皮系、間葉系を示す4つの目印で染め分けます。

採血した血液多くの血液細胞に、CTCがまぎれている
前処理赤血球などを減らし、有核細胞を集める
チップへ捕捉候補となる細胞をチップ上に並べる
染色・判定4つの色と形を重ね、CTCを一個ずつ数える

画像解析で候補を絞り、顕微鏡像と染色パターンを確認して、CTCの有無、種類、個数を判定します。細胞が検出された結果票には、代表的なCTCの顕微鏡写真も添付されます。

4mLで捉えられる細胞と、採血の限界を分けて考えます

この検査の結果票は、血液4mL中に検出されたCTC数を示します。成人の血液全体は体格によって数Lあるため、4mLは全身の血液の約0.1%前後を切り取った標本です。

身体を流れる血液数L

CTCは血液全体へ均一に並ぶとは限りません。

今回解析する量4mL

この中に入り、工程で回収・判定できた細胞を数えます。

4mLの中にCTCが入り、前処理・チップ捕捉・染色の条件に合えば、一個から検出できます。一方で、CTCは非常に少なく、血液へ出る時期や量も一定ではありません。採った4mLへたまたま入らない場合、工程の途中で回収できない場合、判定に使う目印が弱い場合には、身体の中に病変があっても0個となる可能性があります。

1個以上を検出調べた4mLに、判定基準を満たす細胞があった

画像や病歴を重ね、どこを次に確認するかへつなげます。

0個調べた4mLでは、判定基準を満たす細胞を捉えなかった

全身の血液や組織にCTC・がん細胞が存在しないという証明にはなりません。

採血量を考えるための例:血液中へCTCが均一に散らばり、4mL当たり平均1個、回収率100%と仮定しても、偶然0個となる確率は約37%です。実際の分布と回収率は一定ではないため、0個という結果は画像、腫瘍マーカー、症状と組み合わせて読みます。

別方式のCTCチップを用いた膵がん研究では4mLの静脈血が解析されています。少量の血液からCTCを捉えること自体は研究で実証されていますが、捕捉法と判定基準が変われば感度も変わります。別の検査法で得られた「何個以上」という基準を、そのままこの検査へ当てはめることはできません。

4つの色から、細胞の種類を見分けます

細胞の核と、白血球・上皮系細胞・間葉系細胞を示す目印をそれぞれ異なる色で染め、組み合わせからCTCを判定します。

核|Nucleus

核を持つ細胞を青色で確認します。

白血球|CD45

白血球に共通する目印を橙色で確認し、血液細胞との区別に使います。

上皮系|CK

サイトケラチンを緑色で確認し、上皮性の特徴を見ます。

間葉系|VIM

ビメンチンを黄色で確認し、間葉系の特徴を見ます。

核が確認され、白血球の目印を持たず、CKやVIMの組み合わせが判定基準に合う細胞を、CTCとして分類します。

単細胞・集塊・CTMは、血液中での存在の仕方を示します

単細胞一個で流れるCTC

がん組織から離れ、単独で血液中を流れる細胞です。

集塊複数でまとまったCTC

複数のがん細胞が集まり、かたまりとなって流れる状態です。

CTM血液細胞を伴う細胞集団

CTCと血液細胞などが一緒に集まり、循環している状態です。

CTCの集塊は、単独のCTCより転移形成能が高い可能性が研究で示されています。検出された種類と個数を、画像や病状の推移と重ねて読みます。

結果票は、判定・内訳・総数の順に読みます

最初に、血液中にCTCが検出されたかを確認します。次に、上皮型・間葉型・混合型のどの分類で、単細胞・集塊・CTMが何個検出されたかを見ます。最後に合計欄で、今回検出されたCTCの総数を確認します。

1判定

CTCが検出されたかを確認する

2分類

上皮型・間葉型・混合型を見る

3存在の仕方

単細胞・集塊・CTMを確認する

4総数

血液4mL中の合計個数を確認する

CTCが検出された場合は、代表的な細胞の顕微鏡写真も確認します。再検査では、同じ方法で測定した過去の結果と並べ、個数や分類の変化を追います。

CTCが検出されたら、画像で場所を探します

CTCの検出は、採血した血液の中にCTCと判定される細胞が見つかったことを示します。発生した臓器、病変の場所や大きさ、病期は、CTCの個数だけでは分かりません。

現在の症状、既往歴、腫瘍マーカーなどを確認し、必要に応じてCT、MRI、PET、内視鏡、超音波などで身体のどこに所見があるかを調べます。確定診断には、画像所見と組織・病理検査などを用います。

CTC血液中の細胞を捉える

分類と個数を確認する

背景病歴と症状を重ねる

これまでの治療と現在の状態を見る

画像身体の中の場所を探す

CT、MRI、PETなどを選ぶ

診断必要な検査で確かめる

内視鏡や病理検査へつなげる

CTCの検出と、転移の成立は別の段階です

血液中へ入ったがん細胞の多くは、血流の力や免疫細胞の働きによって移動の途中で失われます。

一部の細胞が別の臓器へ到達し、血管の外へ出て生き残り、周囲の環境へ根づき、増殖を続けたときに、画像で確認できる転移へ成長します。CTCは転移へ向かう過程の一場面を捉える検査であり、検出されたことだけで転移の成立を意味するわけではありません。

がんの転移・再発が成立する仕組みを詳しく見る →

0個という結果は、今回の血液で検出されなかったことを示します

結果票の「0個」は、今回調べた血液4mLの中で、判定基準に合うCTCが検出されなかったという意味です。採血した時期、血液量、細胞が血液へ出るタイミング、検査法によって結果は変わります。

画像で確認されている病変や、組織・骨髄・臓器の中に存在するがん細胞は、CTCが0個でもそれぞれの検査で評価を続けます。0個という結果を現在の基準として記録し、画像、腫瘍マーカー、症状と一緒に経過を見ます。

治療前後の変化は、同じ時間軸で読みます

治療前のCTC数と分類を基準にし、治療後に減ったか、同じ水準か、増えたかを見ることで、病状の動きを考える材料になります。

一部の転移性乳がん、大腸がん、前立腺がんでは、特定の測定法で数えたCTC数と、その後の経過との関連が前向き研究で示されています。測定法ごとに捕捉方法と判定基準が異なるため、同じ方法で測った結果を比較します。

治療前最初の基準をつくる

CTC数と分類、画像、腫瘍マーカーを記録する

治療中身体の反応を確認する

治療内容、炎症、血球、症状を重ねる

再検査同じ方法で比べる

個数と細胞の特徴の変化を見る

次の判断複数の結果を合わせる

画像と病状を基盤に治療方針を考える

画像・腫瘍マーカーとは、見ている対象が異なります

画像検査病変の場所・大きさ・性質

CT、MRI、PETなどで、身体のどこに何があるかを映します。

腫瘍マーカー血液中のたんぱくなど

がん細胞や身体が作る物質を測り、治療前後の推移を追います。

マイクロCTC血液中を流れる細胞

CTCと判定される細胞を捕捉し、分類と個数を調べます。

病理検査採取した組織・細胞

病変の一部を顕微鏡で調べ、確定診断やがんの性質を判断します。

CTCで血液中の細胞を捉え、画像で場所を探し、病理で確かめるというように、目的に応じて検査をつなぎます。

早期発見への活用は、研究と検証が進んでいます

CTC検査は、一度の採血から全身のがんリスクを考える入口として期待されています。早期がんでは血液中に存在するCTCが少ない場合があり、検出感度、良性細胞との判別、発生した臓器の特定などの検証が続いています。

2026年7月には、国内の大学病院との共同研究として、Stage 0・Iの膵がんやCA19-9が正常な症例でもCTCを捉えたとする結果が、日本消化器外科学会総会で発表されました。早期膵がんを血液から捉える可能性を示す報告ですが、現時点では学会発表段階であり、対象人数、Stage別の検出率、健康な方との比較などを含む査読論文の公開を待って評価する必要があります。

査読済みの研究では、別方式のCTCチップを用いて膵がん患者72人中54人からCTCを検出し、感度75.0%、特異度96.4%と報告されています。この研究も診断時の患者を対象としており、症状のない一般の方へ毎年行う検診の有効性を直接示したものではありません。

検診や診断の代わりとして一つの結果だけを見るのではなく、年齢、症状、家族歴、既往歴、画像検査や内視鏡など、必要な検査を組み合わせて活用します。

年1回の定点観測と、治療後の確認へつなげます

画像で病変が見つかる前の変化を補助的に捉える目的で、検査を希望する方には年1回を一つの目安として、同じ検査法で定点観測する考え方があります。前回と今回を比べられるよう、採血量、検査法、測定時期をそろえて記録します。

治療後は、CTC数や分類の推移を、再発の兆候を確認する材料の一つとして使います。CTCが減ったことは再発予防が成立した証明ではなく、画像、腫瘍マーカー、症状、一般の血液検査と重ねて経過を見ます。

年1回という間隔は公的ながん検診の推奨ではありません。胃・大腸・肺・乳房・子宮頸部などの推奨される検診を続け、膵がんの家族歴や遺伝的リスクがある方は、専門施設でMRIや超音波内視鏡などの計画を立てます。CTC検査は、その間を別の角度から見る補助検査として位置づけます。

CTCの結果を、現在の病状へ重ねます

マイクロCTC検査では、検出の有無に加えて、上皮型・間葉型・混合型の内訳、単細胞・集塊・CTM、総数を一つの結果として見ます。

治療中の方は、画像、腫瘍マーカー、血球、炎症、栄養、症状、これまでの治療と同じ時間軸へ並べます。検診目的の方は、現在の身体の状態と必要な画像・内視鏡検査を整理します。

必要な確認を重ね、結果が安定している時期は、食べる・出す・動く・眠る・笑うという日常の状態も大切にしながら、定期的な評価へつなげます。

検査結果を、次の確認と治療設計へつなげます

がん治療の研究所では、CTCの数と分類に、画像、腫瘍マーカー、血球、炎症、免疫、栄養、これまでの治療を重ね、同じ時間軸へ並べます。

検査結果が何を示し、次にどの検査で何を確かめるかを整理し、現在の身体に合う治療と経過の見方を考えます。